こんにちは!
公認会計士・クリエイター業専門税理士の三橋裕樹です!
財務分析の資料からお客様のライフプランニング資料まで、
前提さえこちらで考えれば、AIを使ってあっという間に下書きを作れるようになりました。
以前は苦手意識のあったスライド作成も、いまでは以前とは比べ物にならないくらい楽になっています。
ただ、便利になればなるほど逆に強く意識するようになったのが情報の扱い方。
今回はそのことについて書いてみようと思います。
効率化できるのにあえてやらないこと
たとえば、わたしは会計freeeを使っているので、
効率だけを考えるならClaude CodeとfreeeをMCP経由でつないで、
試算表の数値を自動的に読み込んで財務分析の資料を作る、という方法も技術的には可能です。
これができれば、資料作成にかかる時間は今よりもさらに短縮できますし、
スライドも個々のお客様に合わせてカスタマイズできるので間違いなく便利でしょう。
ただ、お客様ご自身が使う場合を除いて、
このやり方を(いまのところは)税理士側が使うのは避けるべきだと考えています。
そもそも税理士は、「守秘義務を守る」というお約束のもとでお客様の情報を預かるお仕事。
番号を知られただけではそこまで重要な話になることが少ないマイナンバーでさえ、
取り扱いについて契約書上に明記され、漏洩対策をすることが当たり前に求められています。
それにもかかわらず、より具体的な収入内容や資産状況を把握できる情報を扱ってるわけですから、
たとえAIを使ってお仕事を効率化する点についてお客様から許可をいただけたとしても、
特定の個人や企業だと分かる状態のままAIに情報を渡すのは、やはりリスクが高過ぎる。
何らかの形で情報が漏れたり、
意図しない使われ方をしたり、
予期せず他のお客様の情報が紛れ込んだら。
それは「効率化のためにセキュリティを軽視した」ものとして、判断の甘さが問われることになります。
便利さを追い求めるあまり、預かっている情報の扱いが雑になってしまっては、本末転倒ですよね。
実際に取っているフロー
なので私の場合は、AIに何かを分析してもらったり、
資料を作ってもらったりするときは、以下の手順を踏むようにしています。
- 一度、必要なデータをエクスポートする
- お客様を特定できる部分は削除、もしくはマスキングする
- 場合によっては、数字そのものを意図的に加工する
- そのうえでAIに渡す
業種や収入形態など分析するうえで必要となる前提情報についても、
なるべくぼかしたり、あえて伝えなかったりして、
必要な部分は自分自身であとあと手修正するときに補足するというフロー。
一手間かかりますが、これは(いまのところ)わたしの中で譲れないラインです。
おそらく他の事務所でも、似たような配慮をされているところは多いんじゃないでしょうか。
Computer Useの精度向上とこれから広がるリスク
AI技術の話でいえば先日発表されたGPT-6 Astraによって、
Computer Use(AIがパソコン画面を直接操作する技術)の精度が大きく向上したことが話題になりました。
ただ、この技術をそのまま会計freeeの操作などに活用しようとすると、
- 無数のお客様のアカウントにログインできる税理士の権限を、そのままAIに渡す
- マスキングや加工をする前の、生のデータそのものを閲覧・操作できる権限を渡す
といった状況になりかねません。
「普通に考えたらこういうことはしないだろう」という人間的な抑止力が自然には働かないからこそ、
効率化の恩恵は大きい一方で、その裏側でどこまでの権限をAIに渡しているのか、
というのは常に意識しておく必要があると思っていますし、
どういう操作が行われたかをある程度は後追いできたほうが安心です。
もちろん今後も、税理士業界内で有効活用していく動きがますます広がっていくと思いますし、
安全性に配慮した運用方法もこれから整備されていくはず。
それでも、税理士の本分は「効率化すること」ではなく、「お客様を守りながらサポートすること」です。
当たり前のことかもしれませんが、AIが便利になればなるほど、この当たり前を忘れないようにしたいと思っています。
