こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
個人事業の活動が波に乗ってくると、
「ぜったい去年よりたくさん稼げてる…!」って実感が出てくるタイミング、ありますよね。
でも同時に、こんな不安が出てくるかもしれません👇
「売上が増えたら税金いくら取られちゃうの…?」
「売上が倍に増えたら、税金も倍くらいとられるってこと?」
「所得が増えるから、社会保険料も変わるよね?」
そこでこの記事では、売上が500万円→1,000万円に増えたら税金・健康保険料がどう変わるのかを、
やさしくわかりやすく整理していきます!
今年売上が大きく増加したクリエイターさん、ぜひ読んでみてくださいね!
税金・国民健康保険料の課税対象となる金額
まず最初に理解しておきたいのが、
「税金・国民健康保険料はそれぞれどの金額に課税されるのか」という点。
ざっくりまとめるとこんな感じ👇
- 個人事業税は「所得」(青丸の部分)
- 国民健康保険料は「所得」(青丸の部分)
- 所得税・住民税は「所得控除後の所得」(赤丸の部分)
つまり、売上に直接課税されるわけじゃないんです!

基本的には売上が伸びればその分「所得」も増えることがほとんどですが、
もしそれ以上に経費が増えていたら、税金・国民健康保険料が減少する可能性もあります。
◆おすすめ記事


もし売上が500万円→1,000万円に増えて経費がそのままなら?
とはいえ、売上が増えたらどれだけ税金・国民健康保険料が増えるのか不安だとおもうので、
今回はシンプルな仮定を置いてシミュレーションしてみます。
- 売上が500万円 → 1,000万円に増加
- 経費は200万円で固定
- 青色申告特別控除額は65万円
- 所得控除額は80万円
- 個人事業税の課税業種
- 神奈川県茅ヶ崎市在住の20代(単身)
個人事業税
個人事業税には青色申告特別控除が適用されない代わりに290万円の基礎控除があるため、
それぞれの税額は以下のとおりになります。
| 売上 | 個人事業税 |
|---|---|
| 500万円 | (売上500万円 ― 経費200万円 ― 基礎控除290万円) × 5% = 0.5万円 |
| 1,000万円 | (売上1,000万円 ― 経費200万円 ― 基礎控除290万円) × 5% = 25.5万円 |
国民健康保険
国民健康保険は「所得」の金額から、
430,000円をマイナスした後の金額に保険料率を掛けて算定します。
| 売上 | 国民健康保険料 |
|---|---|
| 500万円 | (売上500万円 ― 経費200万円 ― 特別控除65万円) = 事業所得235万円
235万円 × (6.66% + 2.77%) + 7万円(均等割・平等割) ≒ 29.1万円 |
| 1,000万円 | (売上1,000万円 ― 経費200万円 ― 特別控除65万円) = 事業所得735万円
735万円 × (6.66% + 2.77%) + 7万円(均等割・平等割) ≒ 76.3万円 |
(保険料は茅ヶ崎市のHPをもとに算定しています)
住民税
正確にいうと、住民税の所得控除額は所得税よりも少なくなるんですが、
この記事では「差額がどれくらいになるか」が大事なので、簡便的にそこの調整はしません。
| 売上 | 住民税 |
|---|---|
| 500万円 | (事業所得235万円 ― 所得控除80万円) × 10% = 15.5万円 |
| 1,000万円 | (事業所得735万円 ― 所得控除80万円) × 10% = 65.5万円 |
住民税は基本的に、上で乗せた確定申告書「赤丸の部分」に、
10%を掛けた金額が課税されるものと考えておけば大丈夫!
所得税
所得税は、上で乗せた確定申告書「赤丸の部分」が一定金額を超えるごとに、
超えた部分の税率だけ高くなる「累進課税(るいしんかぜい)」と呼ばれてる税目です。
ただ、実務上は国税庁HPで公表されている速算表から、
簡単に求められるので今回もそれを使って計算します。

| 売上 | 所得税 |
|---|---|
| 500万円 | (事業所得235万円 ― 所得控除80万円) × 5% = 7.75万円 |
| 1,000万円 | (事業所得735万円 ― 所得控除80万円) × 20% ー 42.75万円 = 88.25万円 |
ざっくりとした差額イメージ
これらを合算すると、以下のとおり👇
- 売上500万円:52.85万円
- 売上1,000万円:255.55万円
- 差額:202.7万円
つまり、売上が500万円あがったのに、税金・国民健康保険の支払いがあることで、
60%くらいしか手元に残らないということになります。
さらにもしインボイス制度の登録をしていると、
消費税の負担が45万円程度増えることに…。
こう考えると、売上が大きく上がったら事業に必要な経費の見直しをしっかりすることや、
iDeCoのような節税しつつ資産形成できる制度を使うべき理由がわかりますよね!
◆おすすめ記事


節税のスタートは経費の取りこぼしを防ぐことから
「売上が一気に増えたし、少しでも多く節税しなきゃ」と思ったとき、
まずやるべきことは経費の取りこぼしを防ぐことです。
たとえば、
- 仕事で使っている備品・機材はきちんと経費にする
- 自分にとって「これは間違いなく事業に必要」という支出は経費にする
- 家事按分の割合を見直す
こういう簡単そうに見えることでも、抜け・漏れが意外とあったりします。
とくに今までは経費に入れてなかった支出であっても、
事業内容が拡大・変化していくことで、経費に入れられる可能性が出てくることも珍しくありません。
そのうえで資金面で余裕があるときには、
iDeCoや小規模企業共済といった投資に手を出していけば、無理なく節税ができます!
◆おすすめ記事


Q&A:税金に関するあるあるなお悩み
Q. 健康保険は文美がお得って聞いたけど…
A. 文美は稼ぎに関係なく、その年に決められた一定の金額を払う健康保険組合です!
所得が毎年大きいときは、文美保険に加入するのがおすすめ!
Q. 税理士と顧問契約すれば、確実に節税できる?
A. 正直にいうと、ケースバイケースです。
もともとかなり際どい支出も経費に入れている場合は、税理士と契約することで経費額が減ることも。
ただ、顧問契約することで取りこぼしてる経費や、税務上の特例を知ることができたり、
今後取り入れていくべき方向性を決めていけるので、税務面での不安が消されやすくなります!
◆おすすめ記事

まとめ │ 「所得」が増えると、税金・健康保険料に大きく響く
- 税金は売上ではなく「所得」にかかる
- 「所得」が大きいと、稼いだ金額の40%以上を税金・健康保険料で取られる
- 節税を意識し始めたときにまずやるべきことは、経費の取りこぼしを無くすこと

