こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
「売上がもっと上がれば、自由になれる」
「毎年売上を伸ばして、今よりもいい生活をしたい」
独立したからには、こういう気持ちって少なからずありますよね。
たしかに売上や利益が増えれば、仕事を選べるようになるし、生活水準も上がりやすい。
新しい機材やソフト、外注先に投資する余裕も生まれます。
でも、売上を伸ばすこと自体が目的になってしまうと、思わぬ落とし穴にハマることも。
この記事では、売上を伸ばしていくことはどこまで正義なのかという話をしてみます!
売上が伸びれば選択肢は増える。
まず前提として、売上を伸ばしていくことは決して悪いことではありません。
その主な理由はこういう点👇
- 単価の低い案件を断れるようになる
- 新しい挑戦のための時間やお金を確保できる
- 生活の不安が減り、長期的な判断がしやすくなる
お金に困っているときに比べて選択肢が増えやすいです。
わたし自身も毎年売上が伸びていくようにお仕事を頑張ってますし、
独立開業した直後よりも、人生のいろいろな場面で取れる選択肢が増えたことを強く実感してます。
なので「売上を追うのは良くない」という話をしたいわけではなくて、
この記事でお伝えしたいのは、売上を伸ばす過程で何が起きるかというところです。
固定費を増やすと、さらに売上が必要になる
売上が伸びてくると、なんだかんだ色々なことにお金を使う必要が出てきます。
たとえば、
- 仕事に集中できるスペースや、事務所のために物件を借りる
- 大量のお仕事を安定して回していくために人を雇う
- 仕事の幅を増やすために機材投資をおこなう
- 業務用のツールやサブスク、ライセンス料の支払いが増える
こういうお金の使い方って、事業を伸ばすための前向きな投資ですよね。
でも、毎月の固定費が以前よりも増えていくと、
毎月最低限稼がなければいけない金額が上がるということでもあります。
たとえば月の固定費が10万円から30万円に増えたとしましょう。
それまでは20万円稼げば固定費をすべて支払っても10万円が手元に残ったのに、
固定費が増えてしまうと、さらに10万円稼いでようやくトントンという状態。
つまり、固定費を増やすことは、
「毎月最低これくらいは働かないとダメだよ」という基準を自分で上げていくことに他なりません。
高単価・高利益率の案件しか受けられなくなる
固定費が増えると、毎月獲得しなければいけない売上の絶対額が大きくなり、
それぞれの案件で利益として残る金額を高くしていかなければなりません。
すると無意識のうちに高単価の案件や、高利益率の案件ばかりに目が向くようになります。
たしかに案件の取捨選択は経営方針として大事なことで、
短期的に見れば、高単価、高利益率の案件だけに仕事のリソースを避くのは理想かもしれません。
でも、長期的に見てみるとそれが正解ともいえなくて、
- 単価は低いけど将来性のある新しいジャンルの案件
- 経験値は積めるけど今すぐ利益にならない仕事
- 新規事業の種になりそうな小さな挑戦
こういった「今は稼げないけど将来性が見込まれる」仕事に手を出す余裕がなくなっていくんです。
また、開業時からずっと関係を保っていたクライアントからの依頼であっても、
「もうその単価ではやれない」という理由から仕事をお断りしてしまい、
いずれ売上が傾いたときに支えてくれる存在を失ってしまうかもしれません。
固定費に追われているうちに、本来やりたかった挑戦のためにリソースを割けなくなったり、
長い間信頼を構築してきたクライアントとの関係値よりも、売上拡大に目が向いてしまう。
これが、売上至上主義の本当の落とし穴です。
一度増やした固定費は、簡単には下げられない
さらに厄介なのが、固定費って増やすのは簡単でも減らすのはとても難しいということ。
たとえば、こういうことって容易に想像できますよね👇
- 事務所を借りてしまえば簡単に解約・移転できないし、する場合は大きなお金が必要
- スタッフを雇えば、急に契約を切るわけにはいかない
- 便利なツールを使って仕事をすることに慣れてしまえば、手放せない
とくに従業員を雇用してチーム体制でプロジェクトを動かす場合には、
一人メンバーが増えるだけで人件費だけでなく、ライセンス料や機材投資額もそれに応じて増加します。
それにもかかわらず、数年前に感染症が蔓延したときのように、
「来月の売上、全部なくなるかも…」なんてことになったら、一気に資金繰りが壊滅的なことに…。
また、固定費じゃなくても、
- 高級な飲食店での接待
- 高いカフェやラウンジでの打ち合わせ
- 最新の業務機材
- 仕事場へのタクシー移動
こういったことに一度慣れてしまうと、グレードを下げることへの心理的な抵抗もでてきます。
だからこそ、売上の拡大にあわせて固定費を増やしたり、
仕事に関する出費の水準を高くしていくことは、かなり慎重に検討する必要があるんです。
売上を上げる前に、自分の優先事項を決めておく
ここまでの話をまとめると、大事なのはこの3つです。
① 自分にとっての優先事項を明確にしておく
売上を上げることが最優先の人もいれば、仕事の柔軟性や余暇の時間を守ることが最優先の人もいますよね。
どちらが正解ということはなく、自分が何を大事にしているかによって、
固定費をどこまで増やすか、どんな案件を優先するかの答えが変わってきます。
「稼いでるはずなのに気持ちが満たされない」というジレンマに陥るまえに、
優先事項を明確にして「どこまで売上を伸ばす必要があるのか」を明確にしておきましょう。
② 今の固定費を賄うために、毎月いくら必要かを把握しておく
固定費を賄うために最低限必要な売上ラインを具体的な数字で把握しておくことは大事です。
ラインが見えていれば、「とりあえず仕事を頑張る」と考えてがむしゃらに働くのではなく、
「来月はこれ以上案件を取らなくていい」といった引きの判断もしやすくなります。
③ 売上だけでなく、全体としての利益率を徐々に高めていく
売上を増やすことと同じくらい、全体としての利益率を上げることに意識を向けましょう。
もし売上が予定していたより増えなかったとしても無駄な固定費を削ったり、
単価の見直しをしたりすることで利益率を上げて手元に残るお金を増やせる可能性があります。
ビジネスに勢いがあるときはその波に乗って拡大していくことも大事ですが、
拡大したことがきっかけで、あとになって自分の首が締まることがないようにしましょう。
Q&A:売上と固定費に関するよくある疑問
Q. 利益率を上げるには、具体的に何から見直せばいいですか?
A. まずは固定費の棚卸しがおすすめです。
ほとんど使っていないサブスクツールやライセンス、惰性で続けている契約がないかを確認しましょう。
また、「経費になるから」という目的だけでお金を使わないようにすることもかなり大事です。
Q. 独立から数年間は売上を追い求めたほうがいいですよね?
A. 生活がある程度安定するまでは、売上の絶対額を増やすことがたしかに大事です。
「最近、仕事に困ることはなくなってきたかな」というタイミングで、今後の方針を改めて考えましょう。
まとめ:売上を伸ばし続けることが正義とは限らない
- 売上が伸びれば選択肢が増えるのは事実
- 伸びた売上を元手に固定費を増やすと、さらに売上が必要になる
- 固定費を賄うために高単価案件ばかりを追うと、新しい挑戦の余裕がなくなる
- 一度増やした固定費は、簡単には下げられない
- 自分の優先事項を明確にしたうえで、どこまで拡大するべきかを考えるのが大事
売上をどんどん伸ばしていけるのは本当にすごいこと。
でも、それが自分の望む働き方と合っているかは、一度立ち止まって考えてもいいかもしれません。
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