こんにちは、公認会計士・税理士の三橋裕樹です!
新年明けて半月が経過しましたが、個人事業主の皆様は確定申告に向けて準備は進んでますか!?
「領収証が散らかってて、見る気が起きない…」
「忙しくてそれどころじゃない…」
毎年こんな声が聞こえてきますよね…。
近年はfreeeやMF、やよいの青色申告オンラインといったクラウド会計が普及しているので、
「これで個人事業主もだいぶ楽になるのでは!?」
と思っていたのですが、実際に使用されている方にお話を聞くと、
「結局簿記の知識がないから間違ってても分からない…」
「なんかよく分からないけどお金がマイナスになってる…」
という悲痛な叫びを頂きました。
私自身もfreee認定アドバイザーという立場ではありますが、まだまだ簿記の知識がない方には盲目的にオススメできない状況です…。
色々と理由はあるのですが、その理由の一つとして多くの個人事業主は生活費(私費)と事業用経費が混在していることが挙げられます。
身に覚えのある人も多いのでは!?
そこで、今回は私費と経費が混在していることによる弊害と、改善策とザックリ書いていきます!
あくまで一例ですが、実際に利用しやすい方法を提案致します!
クラウド会計の強み
クラウド会計の最大の強みは、自動で仕訳を記帳してくれることです!
もちろん、
- 領収証をスマホで撮るだけで経費処理ができること
- リアルタイムで損益状況が分かること
- 様々な端末からアクセス可能
これらも便利な機能です。
ただ、ひたすら記帳を行った経験のある方にとっては、一瞬で数百行の記帳が完了する。
これこそ最大のメリットだと感じるのではないでしょうか。
それは個人事業主でも当てはまることで、
クラウド会計と預金口座・クレジットカードを連携し、定型的な取引の記帳をルール化する。
これを適切に行うと、記帳という雑務の時間を9割以上削減できることになります。
これは本当に凄い!
自動記帳の例
例えば、ECサイトで事業用の消耗品を10,000円購入しクレジットカード払いを行う場合、以下の仕訳が必要となります。
消耗品費 10,000 / 未払金(orクレジットカード) 10,000
これだけ見ると特に大変な仕訳ではありませんが、仮にこのECサイトを年に何回も利用する場合、いちいち自分で記帳するのは面倒…。
そこで活躍するのがクラウド会計の自動記帳機能!
「A」というクレジットカードの明細上、「B」というECサイトへの支払があった場合、 消耗品費 / 未払金(orクレジットカード) という仕訳を記帳しなさい。
という自動登録のルールを設定。
そうすると、クラウド会計上でクレジットカードの同期をポチッとするだけで、同じ取引が年間何件発生しようと一気に仕訳の記帳が完了します。
私費との混同がクラウド会計に与える影響
上記のように、クラウド会計の同期機能は本当に便利です。
ただデメリットもありまして…。
それは何かというと、
誤ったルールを作ってしまうと、自動で数百行の誤った取引が登録されてしまう
ということです。
多くのクラウド会計利用者は、事業用の入出金がある預金口座・クレジットカードをクラウド会計と同期しているかと思います。
ただ、同期した預金口座やクレジットカードが、完全に事業専用として使われているかというとほとんどの場合はそんなことありません。
売上金が入金されたり…
生活用のクレジットカードの利用料引き落としがあったり…
経費の支払を行ったり…
習い事の月謝が引き落としされたり…
こういったように生活費(私費)と経費が混在しているのではないでしょうか。
それ自体は何も悪いことじゃないのですが、クラウド会計のルール作りという意味では厄介です。
先ほど例示した、特定のECサイトから消耗品をクレジットカードで購入した場合の自動仕訳。
「A」というクレジットカードの明細上、「B」というECサイトへの支払があった場合、 消耗品費 / 未払金(orクレジットカード) という仕訳を記帳しなさい。
では、仮に生活用雑貨を「B」というECサイトで購入し、
「A」というクレジットカードで支払いを行った場合どうなるでしょうか。
消耗品費 / 未払金(orクレジットカード)
この仕訳が自動で記帳されます。
もちろん、正しくはこちら。
事業主(貸) / 未払金(orクレジットカード)
これはあくまで例示ですが、同様のケースが無数にあるのではないでしょうか。
対応策:明らかな経費以外は全て私費として処理
このようなケースで私はどのように対応しているかと言うと、明らかな経費以外は全て私費として処理します。
(預金口座・カードの私費利用が多い小規模な事業主様限定の話ですが…。)
頻繁に出てくる取引について、自動処理するルールづくりを行うというステップは変わりません。
但し、Amazonのように私費でも経費でも使いそうなECサイトへの支出が多数ある場合、
これを後々「経費だっけ?」「私費だっけ?」と区別するのは骨が折れます。
なので、基本的には全て私費で利用したということにして、後から経費の部分だけ別仕訳を入力します。
【自動仕訳の設定例】
「A」というクレジットカードの明細上、「B」というECサイトへの支払があった場合、
事業主(貸)/未払金(orクレジットカード)
という仕訳を記帳しなさい。
その後、経費となる部分の取引だけエクセルやcsvで仕訳を作成し、クラウド会計にインポートするようにしております。
freeeの場合はこちらを参考にして頂ければ作成できます。
【手動仕訳の記帳イメージ】
消耗品費 / 事業主(借)
二度手間と感じるかも知れませんが、
1行1行真面目に取込を行ってミス⇒預金口座残高が合わない
という状況を回避することができるので個人的にはオススメしています。
ところで、
「ECサイト連携できるクラウド会計があるんだから、それをやればもっと楽じゃない?」
という意見もあるかと思うのですが、個人的にはあまり好きじゃありません。
ECサイト連携をすることで商品名が取引内容としてクラウド会計に同期され、仕訳登録時に経費性の判定をしやすいというメリットは確かにあります。
しかしながらAmazonのようなECサイトの場合は、買う商品によって商品名がコロコロ変わり、統一的なルールを設けることができず、自動仕訳ルールが荒れてしまいます。
それに時間を割くくらいであれば、何も考えずに全て私費として処理し、必要な分だけインポートで対応。
というのが事業主様にとっても馴染みやすいのではないかと個人的には思ってます。
※あくまで主観であり、対応策も一例でしかありません。事業規模や私費割合を鑑みない統一的な処理を推奨している訳ではありませんのでご留意ください。
少しでもこの記事が参考になれば幸いです!