節税という名目の浪費をするくらいであれば税金を払ってでも手元資金を厚くする

税務関連

こんにちは、公認会計士・税理士の三橋裕樹です!

決算月は、少しでも税金を減らそうと経費を増やしがちです。

少し高い事務所備品を買ったり、同業者との親交を深めるべく飲み会をしたり。

税金を減らすことも大事ですが、事業を継続していくためには何よりも手元資金を潤沢に残しておくことが重要です。

稼いだ利益を超えるほどの税金は課されない

事業主様にとっては釈迦に説法のような話ですが、法人税・所得税いずれも所得(稼いだ利益)に対して税率を乗じることで納めるべき税額が確定します。

所得に乗じる税率はだいたい20%~30%ですから、単純計算で利益*70%分くらいの資金は手元に残ることになります。つまり、稼いだ利益を超えるような税金が課されることは基本的にありません。

そのため、順調に利益を出せるような状況であれば年を重ねるごとにキャッシュが増えていくことになります。

(個人事業主の場合は事業主本人に対して給料を払えませんので、事業として稼得した利益から生活費がマイナスされることになりますが…。)

節税という名の浪費が自分の首を絞める

ただ、利益が出ている時にどうしても考えてしまうのが節税策です。

「パソコンをもっと良いスペックのものに新調します!」

「作業机、イス、空調を新しくします!」

「車を新しくします!」

誰でも心当たりがあるでしょう。

稼得した利益を設備投資に投じることは悪いことではありません。むしろ、事業を拡大していく上で必要となる設備投資は積極的に行うべきです。

一方、節税をするという目的に捉われ、「別にまだ使えるし、特に不満はないけど買い替えるか」というお買い物をしてしまうのは節税・投資ではなくただの浪費です。資金によほど余裕がない限り避けた方が無難でしょう。

 

なぜ浪費を避けるべきか、簡単な例でザックリと計算してみましょう。(税率は25%と仮定。)

仮に年間利益(=所得と仮定)が500万円出るものとして、節税をするべく400万円の経費を積み増したとしたら、最終的な所得は100万円となります。

すると、課される税金は25万円ですので、結果的なキャッシュアウトは425万円(=400+25)ということになります。

一方、予測利益の算出後に特に経費を積み増さなかった場合、キャッシュアウトは税金である125万円のみ。

後者の例は税金負担が非常に重く感じますが、それでも300万円もの金額を失わずに済んでいます。ちょっとした融資分の金額くらいはありますよね。

本当に必要な節税・投資か検討する

上述したとおり、過度な節税は手元資金を食いつぶす結果になってしまいます。

また、節税をして税金を減らせば減らそうとするほど利益が圧縮されていきますので、金融機関から見て非常に印象の悪い決算書・申告書になります。

節税に奔走することで手元資金がみるみる減少していき、気付いた時には融資を受けられないような状況になってしまっては手遅れです。

多額の節税・投資を行う際は、それが自分の首を絞めることにならないか、慎重に検討するようにしましょう。