こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
「30万円未満の機材は、減価償却しないで経費にできるって聞いた!」
「だから買った年に全部落とした方がお得でしょ?」
そう思っている方、とっても多いです!
確かに、10万円以上する機材をいっきに経費処理できれば、その年の節税効果は大きいです。
でもじつは、あえて少額減価償却資産の特例を使わず、
通常の減価償却を選ぶのが有利なこともあるってこと、知っていましたか?
この記事では、30万円未満の備品・機材をどう処理すべきかについて、
クリエイターさん向けにわかりやすく解説していきます!
まず、少額減価償却資産ってどんな制度?
青色申告をしている個人事業主や中小法人は、
1つ30万円未満の固定資産を、年間300万円までなら減価償却せず経費計上できる
っていう特例が使えて、この制度のことを「少額減価償却資産の特例」といいます。
たとえば、こういったものが該当👇
- 25万円のカメラ
- 28万円のPC
- 15万円の照明機材
本来であれば、こうした資産は数年かけて減価償却(少しずつ経費化)するのが原則ですが、
この制度を使えば購入年に全額を経費にできるというわけですね!
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それなのに、なぜ「特例を使わない方がいい」ときがあるの?
それはズバリ、その年の利益が少ないと節税効果があまりないから!
所得税は利益が少ないときは低い税率(最低5%)、
利益が多いときは段階的に高い税率(最高45%)に変わっていく仕組みになっているので、
利益が少ないときに経費が増えても、税金が全然減ってくれません…。
たとえばこんなケース👇
- その年の利益が200万円
- そこに25万円のカメラを買って、全額を経費にした
- 青色申告の特別控除(65万円)も使える
社会保険料等を除いても、
もともとの利益200万円 - 25万円 - 65万円 - 基礎控除48万円 = 所得620,000円
所得が190万円未満なので、かかる所得税率は5%
節税額:250,000円 × 5% =12,500円
※簡便的な説明のため、復興特別所得税と住民税は省略しています。
せっかく25万円も経費を増やしたのに、
12,500円(=25万円*5%)しか税金が減らないということになります。
「あれ、想像してたより全然節税できてない…」って思いますよね…。
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通常の減価償却なら、どうなる?
もし30万円未満の機材を購入した年よりも、翌年以降の利益が増えると見込まれる場合は、
あえて、25万円のカメラを通常償却(法定耐用年数で少しずつ経費化)するのがおすすめ!
たとえば、こんなケース👇
- 買おうとしてる年の利益が200万円
- 翌年の利益が800万円と仮定
- 25万円のカメラを購入予定(耐用年数5年:1年あたり5万円の経費)
- 青色申告の特別控除(65万円)も使える
来年の利益800万円 - 5万円 - 65万円 - 基礎控除48万円 = 所得6,820,000円
所得が330万円~695万円の範囲内なので、かかる所得税率は20%
節税額:50,000円 × 20% =10,000円
※簡便的な説明のため、復興特別所得税と住民税は省略しています。
5年のうち、たった1年で、
しかもまだ5万円しか経費にしてないのに、ほとんど同じ節税額になってますよね。
それだけ、固定資産をどう処理するかって大事なことなんです!
もちろん、「翌期のほうが絶対に業績が伸びる」って判断するのは簡単なことじゃないですよね。
でも、案件が急に増えたり、漫画や楽曲がバズって印税がドカンと伸びることが見込まれるなら、
あえて通常通りの減価償却を行うと、数年で見たときのトータル節税額が高くなるというわけです!
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どんなときに「通常償却」がおすすめ?
「少額減価償却資産の特例」を使うべきかどうかはケースバイケースですけど、
こんな場合には、通常の減価償却をした方がいいかもです👇
- その年の利益が少ない or 赤字の可能性が高い
- 今後収入が増える見込みがあり、節税を後に取っておきたい
- 融資の審査を受けるために、できる限り経費を分散したい
「30万円未満なら買った年に経費!」っていう結論だけを覚えるんじゃなく、
自分にとって有利な方法はどちらかを考えて、選択できるようになりましょう!
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Q&A:減価償却に関するあるあるなお悩み
Q. 特例を使う or 通常償却にするって、自分で選べるの?
A.はい、選べます!
「少額減価償却資産の特例」はあくまで特例であって、法定耐用年数に応じて経費化する処理が原則!
Q. 通常償却にしたいとき、税理士に何て伝えればいい?
A. 「今年は利益が少ないので、カメラは通常償却でお願いします」のように一言伝えればOK!
わからない場合は、「今年はどっちの処理がいいでしょうか?」って聞けば教えてくれるはず!
まとめ │ 30万円未満でも「分けて経費化」が有利なことも!
- 少額減価償却資産の特例は便利だけど、使い方にはコツがある
- 利益が少ない年は、あえて通常償却にして節税タイミングを調整
- その年や翌年以降の状況に合わせて、いちばん有利な方法を選ぼう
制度を知っているだけじゃなく、「自分に合った使い方を選べる」とより税金を管理できるようになります!