こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
個人で事業を始めて
売上がグングン上がってきた。
事業が上手くいって嬉しい反面、
税金の負担額はグングン重くなってくる…。
「「「そうだ、法人成りしよう!」」」
節税という分かりやすいメリットだけじゃなく
「いつかは会社を持ちたい」という願望がある人もいますよね。
事業へのモチベーションはすっごく大事!
ところで私も色々な方の法人設立だったり
設立間もない会社のお手伝いをしてきましたが
税理士として顧問契約を締結する際には
大きく分けて2つの契約内容があります。
それは以下の2つ。
- 記帳を自社でやるか
- 税理士(もしくは記帳代行会社)に依頼するか
出資金があるとはいえ
設立間もない段階の会社。
色々お金がかかるって聞いてるし
できればお金はあまりかけたくないのが本音ですよね。
それに加えて個人事業主のときに
自分で記帳をやっていた人からすると
法人成り後も自分でやれると思うでしょう。
でも実際のところ、
法人成りしてからの記帳は個人事業主の頃より
かなりハードな点が多いです。
基本原則は個人事業主と変わらない
いきなりハードルを高くしてしまいましたが
簿記の基本原則は個人事業主の頃と変わりません。
原則的な償却方法・棚卸資産の評価方法といった
細かい点で違いがあったりしますけど
仕訳は青色申告の人に馴染みのある(ある…よね?)
複式簿記で記帳を進めていけばいいですし
貸借対照表の貸方・借方合計を
最終的に一致させるという点も個人事業主と同じです。
なんか難しそうな話に見えるかも知れませんけど
会計システムを使って記帳をすれば自動的にそうなります。
だからこそ個人事業主の頃に記帳をしていた人からすると
「忙しくなるまでは自分でやっとこう」という気持ちになりやすいのかも…。
「んんん???」ってなりやすい点
ここで本題!
法人成りをしてからも自分一人で記帳をすると
ワケ分からんことになりやすい点がコチラの2つ。
事業主勘定が使えない
個人事業主のときに
事業と関係のない入出金があったとき
事業主勘定を使うことで
その差額を埋めますよね。
なので、事業用口座とプライベート口座を分けなくても
勘定科目の使い分けさえできてれば記帳もすんなり対応できます。
ただ、この感覚のまま法人の記帳を進めてしまうと
事業主勘定が使えないため、最初からつまづくことに…。
法人の記帳だと、事業主勘定の代わりに
役員貸付金・役員借入金を使うことになるんですが
この科目の厄介なところは
翌期以降も残高をそのまま引き継いでいくこと。
会社⇔個人の貸し借りなので
その期が終わったら「よし、終わり」とはならないんですね。
なので気付いたら1,000万円以上の役員借入金が残高に…
という会社もあるんじゃないでしょうか。
役員貸付金、役員借入金どちらの残高が多くても
結局のところどっちかが返済しなきゃいけないことに変わりはないので
残高が多額になる前に
計画的に処理していくことが大事です。
社会保険料と源泉所得税の天引き
次にシンドイのが
社会保険料、源泉所得税の仕訳。
一人社長であっても役員報酬をもらってたら
社会保険に加入することになり
額面の報酬額から
社会保険料と源泉所得税を天引きしなきゃいけません。
この話は知っている人が多いと思いますが
会計システムへの記帳まで正しくできているかというとどうでしょう。
実際に記帳を見ていると
預金残高の出金額を役員報酬として計上している会社が多い印象があります。
正解は額面金額で役員報酬を計上して
社会保険料、源泉所得税をマイナスするというもの。
それに加えて会社負担の社会保険料については
法定福利費に計上しなきゃいけません。
この辺りの処理は
給与計算システムと会計システムを同期できれば
自動的に仕訳が計上されるんですが
システム料が割高に感じてしまい
一人社長の会社で給与計算システムを使ってる人って
あまりいない気がします…。
だからこそ自分で記帳する場合は
最初だけでも本を買ったりしてテンプレを覚えてしまった方が安全です。
「正解の処理」を一度持っておく
個人事業主の頃は全部自分でやっていたという方でも
実際に法人の記帳内容を見てみるとだいたいボロボロだったりします。
その理由を突き詰めていくと
「実は個人事業主の頃から正確には理解できてなかった」
という話なんですけど
税務調査を受けることになったり
税理士と契約しない限りミスなんてなかなか気付かないものですよね…。
だからこそ法人成りのように
処理がテクニカルになるタイミングで
一度税理士なり記帳代行会社と契約して
「正解の処理」を知っておくことが大事な気がします。