こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
「うちのペットを題材にした漫画書いてる!」
「作品の世界観にも影響してるし、飼育費って経費になる?」
そんな疑問を持つクリエイターさん、意外と多いです。
この記事では、ペットを題材にした創作活動と“経費”の関係について、
漫画家さん向けにやさしく解説していきます!
経費になるかどうかは「仕事に必要かどうか」
まず大前提として、経費=仕事に必要な支出であることが原則です。
つまり「漫画を描くためにこの出費が必要だった」と言えるかどうかが判断基準になります。
漫画特有の経費だと、たとえば、
- 作品に登場する衣装や小道具の購入
- 取材のための移動費や施設利用料
などは、わりと明確に“仕事目的”だと判断されやすいです。
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ペットは“仕事目的で飼ってる”とは言いにくい
ただしペットの場合、「漫画のネタにしてるから経費!」とは単純にはいきません。
というのも、ペットは基本的に“生活”の一部として飼われているものだからです。
多くの場合、「よし、漫画書くために猫飼うか!」ではなく、
飼ってから「猫って面白いなぁ。うちの子題材にして作品書いてみるか」って流れですよね。
つまり、「仕事目的でペットを飼育してる」って言い訳が基本的にできないんです。
なので、
- 漫画に出してるからOK
- SNSで紹介してるからOK
…という主張だけでは、税務上「それって私生活でしょ?」と判断されやすいのが現実です。
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とはいえ“100%プライベート”とも言い切れない場合もある
たとえば、以下のようなケースでは創作との関係性が強くなるため、
一定割合を経費にできる余地も出てきます。
- ペットとの生活を描く漫画を連載している
- 描き下ろし作品のテーマが「ペットとの生活」になっている
- YouTubeやファンサイトで“ペットと創作”をテーマにしている
この場合、ペットの存在自体が“創作活動の素材”になっていると言える余地がありますよね。
そのため、作品の連載期間などに限って、
- エサ代
- おもちゃ代
- トイレシートなどの消耗品
こうした飼育費用のうち、10〜20%程度を「創作に使っている資料代」として按分計上する考え方は、
ある程度の説明がつく可能性があります。でも、慎重に判断しましょうね。
あと、病院代は原則NGです。
「漫画のテーマにするために、病院に行こう」とはならないですからね…。
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でも「基本は生活費」だから、やっぱり慎重に
ペットに限らず、実態が“生活寄り”だと「作品に出してるから全部経費でしょ!」という主張は通りません。
特に法人化している場合には要注意。
私的な出費を法人の経費にすると、
- 「役員への給与」として所得税が増える
- 法人税では「利益は減るけど、税金計算からは経費から除外される」
このリスクがかなり高くなります。
Q&A:ペットに関するあるあるお悩み
Q. ペットの病院代も一部経費にできませんか?
A. 原則NGです。
治療や健康管理は完全に生活目的と判断されるため、創作への関連性を説明するのはかなり難しいです。
(人間も、医療費控除という別枠があるだけで、病院代を経費にはできません)
Q. 挿絵やイラストの資料としてペットの写真を使ってる場合は?
A. 素材として明確に使っているなら、その範囲に限って一部の費用を按分できる可能性はあります。
ただし「何に使ったか」を記録しておくことが大切です。
まとめ │ 基本はNG。でも、創作との関係性が濃ければ余地はある
- ペットの飼育費は、基本的に生活費なので経費化は難しい
- 作品に強く関係している場合のみ、10〜20%の按分余地あり
- 法人化している場合は、より慎重に。税務否認や追徴リスクも
創作に使っているつもりでも、「仕事のためにペットを飼った」と説明するのはやっぱり難しいところ。
経費を増やしたいときでも、そのリスクに見合う節税効果か、考えるようにしましょう。