こんにちは、公認会計士・税理士の三橋裕樹です!
期末時点における会社の財産状況をあらわした表のことを貸借対照表といいます。
損益計算書に比べると読みにくさがありますが、もしもの時に備えて貸借対照表の資産項目(左側)を定期的に時価評価することをオススメします。
純資産は解散価値を示す
みなさん知ってのとおり、こちらが貸借対照表のつくりです。
ピンクで塗りつぶされている純資産は、資産から負債をマイナスすれば算出することができます。
純資産は、資本金や利益剰余金といった項目が並べられている区分ですが、それ以上に重要なことがありまして。
それは、純資産がその時点の解散価値を示すということ。
資産から負債をマイナスするという純資産の算出過程を見れば「そりゃそうだろ」という話ですが、解散価値というのは貸借対照表に慣れてきた人でも見落としがちな側面です。
資産を金額通りに処分できるとは限らない
解散価値を示すということは、期末時点で会社をスパッと解散したら(解散のための支出等を除けば)純資産分だけ資産が何かしらの形で残るということです。
そのため、多額の銀行借入等で不安になったとしても、純資産がプラスであるなら社長個人の財産を売り払う必要はありません。
ただこれは、全ての資産が回収可能価額で評価されている場合の話です。
例えば売掛金が2億円あったところで、そのうち半分の得意先から入金が滞っているようであれば、実質的には1億円の売掛金しかないのかも知れません。(ここまで極端なことはないでしょうが。)
保険積立金についても同じ話です。
保険商品の返戻率により資産計上額が変わりますが、数億円積み立てたとしても、自社都合で中途解約した場合に返戻されるお金は100%未満となることがほとんどでしょう。
無形資産に計上されている電話加入権は0円のようなものです。
つまり、資産項目として貸借対照表に記載されている金額は、実際に売れるであろう金額よりも高く評価されていることが少なくありません。
そうすると、負債に対する資産の金額が減るので、その分だけ純資産額が減少することになります。
資産は定期的に回収可能性を検討する
さきほどの例は極端ですが、切り札として残しておいた保険積立金や有価証券を処分しても、自分が思うほどお金が返ってこなければ資金繰りが一気に苦しくなります。
特に今回の新型コロナウイルス感染症のような緊急時には致命的な話になりかねません。
売掛金にしても100%全額入金されるとは言い切れないですし、非上場の有価証券は買ってくれる人を探すだけでも大変な話です。
そのため、貸借対照表の資産項目については定期的に回収可能性を検討しておいた方が無難です。
回収可能性の検討といってもそれほど大掛かりな話ではありません。
債権や在庫については滞留がないかを確認すれば済みますし、
固定資産については今使っている資産と同じ条件のものを買う場合にいくら必要かを調べればだいたいの金額が分かります。
厳密にやろうとするとキリがありませんが、ザックリやるくらいであれば一日もかからないハズ。
自社の資産金額を過信して足元をすくわれないよう、資産項目の回収可能性は定期的に検証するようにしましょう!
◆編集後記
今日は久しぶりに美容院に行きました。
新しい髪型なので慣れませんが、頭が一気に軽くなってリフレッシュです!