青色申告している人が使える純損失の繰戻し還付!お金が戻ってくるのに使われにくい理由

税務関連

こんにちは!
クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!

青色申告の個人事業主は
白色申告に比べると多くのメリットがあります。

有名なところだけを見ても
こんな感じ!

  • 特別控除(10万円/55万円/65万円)
  • 30万円未満の固定資産の経費処理
  • 3年間の損失の繰越控除
  • 専従者給与(適正と認められる金額まで)

今年は青色申告の申請期限を過ぎてますけど
白色申告の方はいますぐ申請しておきましょう!

会計システムのおかげで
誰でも65万円の特別控除を狙えますしね。

そしてこの他にも青色申告であれば
純損失の繰戻し還付という請求を行う権利もあるんですが、

実際にはなかなか使われません。

純損失の繰戻し還付とは

純損失の繰戻し還付は
ザックリ説明すると

その年の赤字を
前年発生したものとして扱うことができる

というものです!

前年所得税が発生しているなら
もちろん事業所得も発生してますよね。

その事業所得に
今年の赤字をぶつけて
所得税の再計算を行えるので、

前年納めた税額と
赤字をぶつけて計算し直した税額の差額を
還付として受け取れるわけです。

要件としては
大きく分けて以下のとおり。

  • 前年も青色申告していて、所得税が発生
  • その年も青色申告していて、事業が赤字
  • 「還付請求書」をその年の確定申告書と同時に提出

前年納めた税金の一部(もしくは全部)が返ってくるので
青色申告のメリットと言えるでしょう。

純損失の繰戻し還付が使いにくい理由

ただ、実際にはちょっと使いにくいところがありまして。

そのおおまかな理由は
大きく分けて2つ。

  • 前年分のみ対象
  • あくまで「請求」

簡単に見ていきましょう!

前年分のみ対象

事業で赤字が発生したとき
通常使われるのは純損失の繰越控除。

翌年以降に赤字を繰り越して
所得税を減額できる素晴らしい制度です。

この繰越控除であれば
3年間赤字を繰り越せるのに対して、

繰戻し還付の場合は
前年の所得にしか赤字をぶつけられません。

青色申告特別控除があることも考えると
3年間に渡って所得税を安くした方が
トータルの納税額を抑えられる可能性が高いんですよね…。

ちなみに、住民税・事業税は
繰戻し還付の対象にならないので

所得税の繰戻し還付請求をしても
3年間の繰越控除として扱われます。

 

あくまで「請求」

これがちょっと厄介なところで、
繰戻し還付はあくまで「請求」です。

「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」
というものを確定申告と同時に提出するんですが、

提出すれば自動的に
還付の入金があるわけでなく、

税務署でジックリと調査されて
問題ないと判断されてから還付が発生します。

その一環として
税務調査の対象となる可能性も…。

やましい事をしてなくても
税務調査に当たって嬉しいとは思いませんから、

そういうところも含めて
使いにくいなぁと感じてしまいます。

資金繰りが厳しいときにはアリ

この記事で見てきたとおり
なるべくなら繰越控除を選択したいところですけど、

前年に大きな利益を出していて
今年は大赤字だった。

なんて場合には
資金繰りも厳しくなることが
予想されますから

繰戻し還付を使うのもアリですね!

コロナのせいで
いきなり業績がガクンと落ちた方は
事業を続けていくためにも

繰戻し還付することも
考えるようにしましょう!

 

◆新しいこと

川崎市多摩スポーツセンター。