主査を経験した方が良い理由のひとつ。監査におけるリスク・アプローチと監査計画の小話。

監査のお仕事

こんにちは、三橋裕樹です!

財務諸表監査のゴールは、ザックリ言うと、
財務諸表に載ってる数字が企業の実態を正しく示しているかどうか判断することです。

財務諸表そのものだけを見ても
「あ、これ間違ってるね」と気付くことは難しいので、

財務諸表を構成する勘定科目ごと(さらにはその内訳ごと)に
監査手続を実施し、仕訳の誤りや不適切な会計処理がないか検討をしていきます。

そうは言っても、
大きな会社であれば勘定科目は山ほどあって、仕訳の量も膨大…。

にも関わらず仕訳を全て検証(精査といいます)していたら、
時間がいくらあってもキリがないですよね。

リスク・アプローチと監査計画

そんなこんなで金融庁からも求められているのが
業界の人なら誰でも知ってるリスク・アプローチという手法!

危なくなさそうな勘定科目や取引はサラッとやって
ヤバそうなところに注力する。

とっても合理的な考え方ですよね。

リスクの分類さえ間違わなければ、
精査に比べて劇的に監査の工数を減らすことができます。

(その結果、企業に請求する報酬額も減額します!)

で、そのリスクの分類はどの時点でするかというと
監査計画をつくるタイミングです。

なので、一度でも監査計画をつくったことがあると、
リスク・アプローチとの紐づきが嫌というほど分かります笑

監査計画で全てが決まる

サラッと済ませるところ、注力するところ、
それぞれにどんな監査手続を実施するか。

これを詳細に決定していくのが監査手続です。

逆にいうと、監査手続の時点で狙いを外すと、
不正を見逃したり、期限内に監査を終えられず、

監査失敗という結果に終わる可能性がグッと上がってしまいます…。

(実務的にはどうにか頑張って間に合わせますが)

なので、監査現場に突入する前の監査計画は本当に大事で、
監査計画で全てが決まるといっても過言ではないほど。

 

ただ、スタッフのうちは計画調書を見ても
正直よく分からないことがほとんどだと思います。

前年の調書を見て作業すれば、成果物はなんとなく完成しますからね…。

私も一年目の頃から計画調書をガシガシ作ってましたが、
結局そのつながりがちゃんと分かったのは主査になってからでした。

監査としての仕事は主査の方が面白い

主査になると日程調整や人繰りなど、
監査以外のことが大変になるので、ついつい辛い側面ばかりに注目されますよね…。

ただ、監査という仕事においては、
スタッフよりも主査の方が数倍楽しいです!

パートナーと相談しながら、
リスクを見極めて監査手続を考える。

戦略ゲームが好きな人からすれば、
天職のようなものでしょう。

 

独立した会計士の中には
「監査なんかやってても先がない」という話をする人もいますが、

これは本当に合う合わない、
好き嫌いの問題ですので、

個人的には一度主査をやってから自分のキャリアを考えた方が、
より自分が納得できる道に進むことができるように感じています。

 

◆編集後記

今日は、以前から気になってた最寄り駅のカフェへ初めて行ってきました。

こじんまりとしたお店ですが、落ち着いた雰囲気で使いやすかったです。