こんにちは、公認会計士・税理士の三橋裕樹です!
皆さんはヤフオクやメルカリを利用することってありますか?
私もたまにヤフオクとメルカリを利用するのですが、メルカリのようなフリマアプリが登場してからというもの、ヤフオクの比じゃないくらい簡単に所有物を売買することができるようになりましたよね!
使わなくなったブランド品やカバンも、中古服の買取ショップより遥かに高く買ってもらえるので重宝してます。
さらに近年は断捨離やミニマリスト、整理術などが火付け役となり「物を持たないシンプルな生活」に憧れを抱く人も多いので、余計に所有物を簡単に換金できるアプリのニーズが高いのかも知れません。
でもこのメルカリ、ちょっと税務面で不安がありませんか?
物を売って収入を得るということは、申告書上の譲渡所得や雑所得に該当するのでは…?
そこで今回はメルカリの税務的なお話をします!
3つの区分で判断しよう
まず結論からお話します。
おおまかに3つの区分に分類できます。
- 服やカバン、家電など、生活で通常必要とされるものを売った⇒譲渡所得
- 頻繁かつ多額ではないが、販売用に仕入れたものを売った⇒雑所得
- バイヤーとして売買してる⇒事業所得
ほとんどの人は事業所得
「じゃあ昔着てた服やカバンを売ったら課税されるの!?」と思うかも知れません。
そこはご安心ください!
このような場合、ほとんどの人は1.の譲渡所得に該当します。
そして譲渡所得の場合「生活に通常必要な動産」(家財・衣類など)を売っても、その所得は非課税として扱われます!
また、宝石や骨とう品、美術品のような「生活に通常必要でない資産」を売った場合でも、1個当たりの【時価】が30万円以下であれば、「生活に通常必要な動産」とみなされます!
つまり非課税ですね。
一つ注意が必要なのは、上述のように「生活に通常必要でない資産」が30万円以下かどうかの判定は【時価】で判定するということ!
仮に昔20万円で買った宝石が、売却時には時価が3倍くらいに上がってる、なんて場合には単純計算で60万円になりますから、課税対象になります!
しかしながら、譲渡所得として課税対象になった場合であっても、
譲渡所得全体として最大50万円の特別控除が設けられていますので、メルカリやヤフオクの譲渡所得で利益が実際に税金が課される人はかなり少ないのではないかと考えます。
販売用に仕入れた商品を売った
現地で仕入れたものをネットで販売するようなバイヤーさんなどは、その規模により事業所得もしくは雑所得に該当します。
これは厳密な定義はないのですが、そのネット販売により生計を立てられるほど収入を得ているのであれば事業所得、お小遣い稼ぎ程度なら雑所得と考えて頂ければ少しイメージが湧くかも知れません。
どちらも収入金額から経費をマイナスできるのでそんな大きく変わらないように見えますが、
会社に年末調整を行ってもらっている方のように給与収入しかない方の場合、
雑所得(売上ー経費)の金額が20万円以下であれば所得税の確定申告が不要となります。
これを見たら「雑所得の方が良い!」と思うかも知れませんが、いくつか注意点があります。
- 所得税は確定申告が不要だが、住民税は確定申告が必要
- 寄付金控除などで確定申告を行う人は、20万円以下の雑所得であっても含める必要がある。
つまり、「少額だから確定申告するほどではないよー」という基準が20万円以下というだけであって、
そもそも確定申告をする人は他の所得と一緒に申告する必要があるということですね。
そして、この20万円基準は所得税のみの恩典であり、住民税にはそのような免除要件はないため確定申告を行う必要があります。
ややこしい話ですね…。
また、事業所得に該当すると大きなメリットがあります。
事業所得のメリット ・事業所得で赤字の場合、給与所得等と損益通算可能 ・申請すれば、一緒に暮らす家族への給料が経費にできる ・(青色申告なら)特別控除あり ・(青色申告なら)赤字を3年間繰り越せる ・(青色申告なら)30万円未満の固定資産を全額経費化可能
事業所得の場合にはそれだけ多くのリスクを抱えている訳なので当然といえば当然。
ちょっとだけ解説しますね!
事業所得で赤字の場合、給与所得等と損益通算可能
これは事業所得で頑張って稼いでるのに、たまたま値段が暴落して損失が出てしまうような場合。
そんな時にその赤字を他の所得(給与所得など)にぶつけることができるので、所得を低くすることができます。
これが雑所得の場合、マイナスが出ても「所得0」がミニマムなので他の所得をマイナスすることはできません…。
申請すれば一緒に暮らす家族への給料が経費になる
これも大きなメリットですね!
雑所得の場合は家族に給料を払っていても経費になりませんが、事業所得の場合は申請のうえ要件を満たせば全額経費として認められます。
※白色申告には配偶者86万円、その他の親族50万円と上限決められています。
(青色申告なら)特別控除あり
青色申告の申請をしており、かつ帳簿への記帳をきちんと行っていれば、所得から最大で65万円を控除することでできます。
65万円の控除を認めてもらうためには以下の要件が必要です。
- 期限内に申告
- 複式簿記で記帳
- 貸借対照表の提出
- 損益計算書の提出
簿記の知識がない人にとっては「何だこれ」と思うかも知れませんが、最近は会計ソフトも使いやすくなってきているので実際にやってみるとそこまで大変ではありません。
もし分からない場合、顧問税理士に丸投げするのもオススメです!
(青色申告なら)赤字を繰り越せる
事業所得しか収入がないけど赤字が発生してしまった…。
給与所得等を上回るくらい大赤字になってしまった…。
こんな時、青色申告をしていれば3年間赤字を繰り越すことができます!
また、前年も青色申告しており所得が発生している場合、前年の所得金額に今年の赤字をぶつけて税金の還付を受けることもできます。
赤字の繰越は創業間もない時でも使えるので、結構大きいメリットですね。
(青色申告なら)30万円未満の固定資産を全額経費化可能
これも節税を考えるうえでとても重要なメリット!
普通、固定資産の購入金額が10万円を超える場合、減価償却といって数年間で経費化しなければなりません。
しかし、青色申告であれば一つにつき30万円未満の固定資産までならその年に全額経費化することができます!(年間300万円が限度)
事業に必要なものを購入して節税できるのは、とてもオイシイ話ですよね!
所得税に限ればほとんどの人は課税対象外!
色々書いてきましたが、所得税に限ればほとんどの人は課税対象外です!
ただ、今はECサイトを利用して自作のアクセサリーや小物を販売する人も増えてきていますよね。
そのような場合は事業所得・雑所得のどちらに区分されるかで大きな差があることを理解してもらえたと思います!
税金や申告ってとても面倒くさいように感じると思いますが、知識があればあるだけメリットを享受できる制度でもあります。
少しでも不安がある場合には、税理士さんに素直に依頼することをオススメします!
私も税務顧問サービスを提供しておりますので、良かったらご利用ください!