【お気軽税務】年末調整って個人事業主でも必要なの?確定申告との違いは?

税務関連

こんにちは、公認会計士・税理士の三橋裕樹です!

年末といえば社会人経験ある人にとって馴染み深い言葉がありますよね。

そう、年末調整!

「正直よく分からんけど、お金返ってくるアレね」

だいたいの人のイメージはこれだと思いますが、

そもそもなんで年末調整が必要か、という事を知らない人は意外に多いです。

なので、今回はどういう時に年末調整が必要なのか、という話を含めて年末調整についてザックリ書いていきたいと思います!

ほとんどの人が年末調整について知らないまま社会人経験を積んでいきますからね…

年末調整ってナンだ?

結論からお話すると、年末調整は給料の支払主が確定申告の簡易版として行う作業と思って頂ければイメージが湧くかと思います。

本来であれば、所得が発生している限り原則として確定申告を行う必要があります。

ただ、皆さんが正社員の時、全員が全員確定申告をしていた訳ではありませんよね?

それは年末調整という作業を給料の支払主が行ってくれているからです。

具体例で説明しますね!

具体例:収入源が1社からの給料所得のみ

どこかの企業に就職をすると、毎月ある程度決まったお給料をもらえますよね。

基本給があって、残業代があって、諸々手当があって。

これらを合算した金額がいわゆる”額面”の収入となります。

そこから、会社で加入している社会保険料や厚生年金、住民税、所得税等が天引きされ、

その結果振り込まれるお給料が”手取り”の収入となりますよね。

ここまでは皆さんご存知の通りかと思います。

ただ、ここで一つ改めて認識してほしいことがありまして、

それは会社が毎月所得税を天引き(源泉徴収)しているということです。

つまり、会社は毎月の給料から予め差っ引くことにより、社員が年間で納めるべき所得税を支払ってくれているんです。

そのため、

①確定申告書を作成して、

②納税額を計算して、

③納税

というステップを会社が代わりに行ってくれているということです。

「これは助かる!!」

参考情報ですが、

不動産所得のある人や、お給料を2社以上からもらっている場合に確定申告が必要と言われてますよね。

これは、ある1社で年末調整をしてもらったとしても、他の収入があることで個人の所得税を正確に計算することができないためです。

また、最近はふるさと納税が有名になってきましたが、これも寄付金控除が年末調整の対象とされていないため、

自身で確定申告を行わないとそのメリットが税金に反映されません。

逆にこれらの事例に当てはまらないのであれば、年末調整だけしてもらえれば確定申告の必要がないということですね!

年末調整で完結するのが一番シンプルで楽ですが、その分税制上のメリットを完全に享受することができないのでトレードオフですね!

なんで年末調整でお金が返ってくるの?

この要因は、会社が予め所得税を天引き(源泉徴収)していることにあります。

所得税というものは本来、1年間の収入から経費・各種控除を差っ引くことにより税額が算定されます。

この作業が確定申告書の作成ですね!

これに対して、毎月の給料から所得税を天引き(源泉徴収)する場合、その年の年間収入はまだ確定していないですよね?

そのため、「今年はこのくらいだろう」という概算に基づいて天引きせざるを得ません。

そして、年間の収入金額が確定する12月頃になると社員ごとの所得税金額を正確に算出することができますので、

本来納めるべき税額と、毎月天引きした概算の税額を差し引きし、多く徴収し過ぎた場合には社員のお給料に加算して税金の払い戻しを行います。

この調整の事を年末調整と言います!

個人事業主でも年末調整は必要?

たまに個人事業主の方から、「年末調整お願いできますか?」というお話を頂くことがあります。

もちろん作業を行うことは可能なのですが、個人事業主の方も年末調整が必要なのでしょうか。

答えは、基本的に不要です。

年末調整は上述のとおり、年末調整は給料の支払主が確定申告の簡易版として行う作業です。

そのため、個人事業主の方で、従業員を雇っておらず給料を支払っていない場合には年末調整を行う必要はありません。

「え、年末調整やらないなら所得税はどうするの!?」

原則通り確定申告書を作成のうえ、納税すれば問題ありません。

もちろん、お給料を支払っているような場合には年末調整を行う必要があるのでご留意くださいね!