【クリエイターは売上1,000万円で法人化すべき?】法人成りの目安と判断ポイント

クリエイターの税金・申告関係
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こんにちは!

公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!

 

「売上が1,000万円を超えそうなんだけど、法人にしたほうがいいのかな?」

そんなご相談をいただくこと、よくあります。

 

たしかに「売上1,000万円」にもなると税金の負担感も大きくなってくるので、

法人化を考え始める人が多くなると思いますが、人によってベストなタイミングは違います。

 

この記事では、法人化を検討するときの基準や考え方を、

クリエイターさん向けにやさしく解説していきます!

 

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そもそも「法人化」ってどういうこと?

個人事業を法人化する、というのは、

自分の活動を「会社」という形に切り替えることです。

(法人化、法人成り、どちらでも言ってることは同じ。)

 

法人化すると、ちょっと変わるのがこんなこと👇

  • 自分の名前ではなく「会社名」で契約できる
  • 稼ぎは「役員報酬」として受け取る形になる
  • 個人とは別に、会社として税金の申告や納付を行う(法人税が課税)

 

個人事業主のときは、

「ビジネスをやっている自分」「プライベートの自分」

この2つって、正直切っても切れない関係でしたよね。

 

それが法人化することで、

  • 仕事:作った会社
  • プライベート:あなた個人

このように明確に分けて考えられるようになります。

 

これによって、活動内容自体は変わらなくても、

お金の流れや税金のルールが大きく変わる、といった感じ!

 

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法人化の理由①:消費税の納税義務

そもそも、「売上1,000万円を超えたら法人化」の根拠は、

主に、消費税の納税義務が発生するタイミングと節税目的にあります。

まずは消費税のことについて説明しますね👇

 

インボイス制度が始まる前までの考え方

個人事業主の場合、開業から2年間は基本的に消費税が免除されますけど、

ある年に売上1,000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。

 

法人化して「節税できるかな?」と考える人が増えるのはこのタイミング。

 

どういうことかというと、

売上1,000万円超えた年から2年経ったとき、個人事業を廃業してれば消費税を納める義務がありません。

 

一方で、法人化した場合は個人事業でいくら稼いでいても、

その情報を引き継がずに消費税の課税判定が行われるので、

少なくとも第3期までは消費税の納税義務がないことになります。

 

そのため、この2年の間に個人事業を廃業し、法人に事業を移行すれば、

結果的に2年程度消費税の納税義務を遅らせることができ、お金が貯まるわけですね!

 

インボイス制度が始ってからの考え方

ただ、そんな今までの考え方が、

インボイス制度の開始にともなって、一部崩れることになります。

 

というのも、インボイスの登録事業者になると、

売上規模がいくらであっても、消費税の納税義務が発生することに。

 

なので、取引先との関係でインボイス登録をせざるを得ない

そんな場合には、今までのうま味を活かすことができません…。

 

ただ、取引先のことを何も考えずにインボイス登録をするかどうか決められる場合は、

今まで通り、消費税の納税義務をできる限り先送りにすればOK!

 

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法人化の理由②:節税目的

もう1つの理由である節税目的について説明しますね!

 

個人事業主の所得税ってざっくり言えば、稼げば稼ぐほど税率が高くなる仕組み。

「稼ぎすぎると半分以上税金で持ってかれる」なんて話を聞くこと、ありますよね。

 

これに対し法人は、法人税率が一定(約15% or 約23%)なので、

売上や利益が増えるほど節税効果が出てきます。

 

厳密には個人・法人それぞれ地方税を考慮することになりますけど、

一定金額を超える儲けが安定的に出るようであれば、法人化した方が節税できる可能性が高いんです。

 

ちなみに、節税目的だけを考えるのであれば、

「売上ではなく所得が、安定して900万円を超える」ようになってから

法人化したほうが、資金繰りで詰まる可能性も少なく、メリットを十分に得られます!

 

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法人化を考えるべきタイミングって?

世間的に言われる「法人化すべきタイミング」の説明をしてきました。

 

でも、事業を法人化することの本来のメリットって、

「国や自治体、外部会社からの信頼を得て、活動の幅をより大きくできる可能性がある」

ということなんです!

 

なので、以下のような状況があれば、

売上が1,000万円に届いていなくても法人化の検討価値あり!👇

  • 今後仕事量が増えて、人を雇う予定がある
  • 取引先から「法人じゃないと契約しづらい」と言われた
  • 企業、官公庁との取引を強めていきたい
  • 補助金、助成金を受けつつビジネスを拡大したい

 

税理士としても、「法人化することで損したら元も子もない」とお伝えすることはありますけど、

それと同じくらい「今後の方針をどうしていきたいか」を考えることが大事!

 

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逆に、法人化を急がなくてもいいケース

一方で、こんな場合は法人化をあせる必要はありません👇

  • 売上が高くても経費が多く、利益がそこまで残らない
  • 一人で完結する仕事スタイルで、外注予定もない
  • 売上の波が大きく、今後どうなるか見通せない

 

法人化すると、

  • 設立費用
  • 設立後も必要に応じて登記費用
  • 税理士報酬アップ
  • 会計ソフト使用料アップ
  • 社会保険関係の手続
  • 年末調整、支払調書の作成、提出
  • 個人の申告よりはるかに大変な法人税申告

こういったお金・事務処理のコストがかかるので、

「なんとなく法人にした方がよさそう…」という理由だけだと負担ばかり大きくなります…。

 

なので、「勢いで法人化しちゃえ!」と突っ込んでいくより、

せめて一度税理士に相談してから、今後どうするか決めていくことを強くおすすめします!

 

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Q&A:法人化に関するあるあるなお悩み

Q. 1,000万円を超えたら絶対に法人化すべき?

A. 売上1,000万円はあくまでひとつの目安にすぎません!

「利益の額」「今後の働き方」「契約先の要望」などを総合的に見て判断しましょう!

 

Q. 法人化したら、税理士に頼まないとダメ?

A. ダメってことはありません!

ただ、法人化すると、会計や税務のルールが複雑になるため、

基本的には税理士にサポートを依頼するのがおすすめです!

 

Q. 法人化の費用ってどれくらい?

A. 設立費用は株式会社なら20~25万円、合同会社なら6万円~10万円程度。

さらに、その後の税理士報酬(顧問・申告)は、年間40~60万円ほどかかることが多いです。

 

まとめ │ 売上1,000万円はあくまで「目安のひとつ」!

  • 売上1,000万円超は消費税の節税タイミングではある
  • 法人化の判断は「利益」「信用」「今後の展望」も含めて考える
  • タイミングに迷ったら、税理士に相談しよう

売上だけで決めず、あなたの今と未来に合った選択をしていきましょう!

 

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