こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
イベントが終わったあと手元に残ったグッズや同人誌をみて、
「思ったより売れなかったな」という経験、クリエイターさんなら一度はあるんじゃないでしょうか。
この売れ残り在庫、じつは確定申告のときにきちんと処理しないと、
税務調査で思わぬペナルティにつながることがあるんです。
この記事では、在庫の正しい扱い方と税務調査につながるリスクについて、
クリエイターさん向けにわかりやすく解説します!
売れ残りは「経費」にならない
グッズや同人誌の制作費・購入費用は、基本的に「仕入高」として処理します。
この時点では、支払った全額が経費に計上されている状態。
でも、売れ残った分までそのまま全額その年の経費にしてしまうことはできないんです。
なぜかというと、まだ手元にある在庫は「資産」として翌年に持ち越す必要があるからです。
そのため、12月31日時点で残っている在庫数に単価を掛けることで在庫金額を算出し、
「この分は翌年に繰り越します」という「棚卸」作業をしなくてはいけません。
たとえば、
- 印刷した同人誌がまだ手元にある
- イベントの物販用にグッズを常にストックしてある
- 委託販売先に在庫が残っている
こういった状態のときは、在庫の原価を計算して翌年に繰り越す処理が必要です。
在庫金額の計算方法
じつは税法において在庫の計算法はいくつかありますが、
個人のクリエイターさんは「最終仕入原価法」という方法を使うのが原則です。
最終仕入原価法:一番最後に仕入れたときの単価をベースに計算する方法 →税務署に事前申請をしない限り、この計算方法しか使えない。
計算の流れはこんな感じ👇
- 最後に印刷・製造したときの総費用 ÷ 総数 = 単価
- 12月末時点の残数 × 単価= 在庫金額
同一の同人誌・グッズを年内に何回仕入れても、棚卸計算で使うのは最後に仕入れたときの単価だけです。
たとえば、同人誌を100冊印刷して印刷代が3万円だったとすると、1冊あたりの単価は300円。
年末に30冊残っていれば、在庫金額は9,000円になります。
この9,000円は翌年に繰り越す形になるので、今年の経費にはなりません。
「在庫ゼロにして全部経費にする」ことのリスク
在庫が残っていると経費が減る、ということは
在庫をゼロにすれば全額経費にできる(=税金を減らせる)、という発想が出てくるかもしれません。
売れ残った分を処分して、実際の在庫数がゼロになってるなら問題ないです。
でも、「管理が面倒…」「税金を手っ取り早く減らしたい…」という理由で棚卸を反映せずに、
その年に仕入れた金額をすべて経費とすることにはリスクがあります。
たとえば、こんなケース👇
- 毎年仕入れを行っているのに、毎年のように在庫がゼロ
- 在庫を抱える必要がある業種なのに、在庫がゼロ
こういう内容の申告書・決算書を税務署が見ると、
「在庫管理してないんだな」「経費を増やしたくて意図的にやってるのかも」という印象を持ちやすくなり、
税務調査のリスクが高まってしまいます。
ただ、上に書いたとおり実際に処分しているなら税務調査に当たっても問題ないので、
処分したという証拠を残しておくようにしましょう。
- 処分した日付と数量のメモ(日付入り写真があるとベター)
- 廃棄業者を使った場合は書類を保管
- 委託先の廃棄サービスを利用した場合はその記録
Q&A:在庫処理に関するよくある疑問
Q. いままで在庫の評価額を販売単価で計算してたけど大丈夫…?
A. その場合、本来よりも経費が低くなる(=税金が高くなる)状態なので、大きな問題はありません。
ただ、本来のルールだと「最終仕入原価法」での計算が必要となるので、今年から修正しましょう。
Q. 在庫をずっと残しておくのは良くないことなの?
A. 売れる見込みがある場合には、在庫を残しておいても問題ありません。
一方、売れる見込みがまったくない在庫をずっと残しておいても保管場所や保管手数料を取られたり、
在庫計算の手間が増えるだけなので、不要と判断した在庫は処分するようにしましょう。
Q. 同人誌とグッズが複数ある場合、まとめて計算してもいいの?
A. 種類・作品ごとに分けて計算しないとNGです。
同人誌のタイトルごと、グッズの種類ごとに単価と残数を出して、それぞれの在庫金額を合算する形になります。
まとめ:在庫は「単価」と「記録」が大事
- 売れ残りは在庫として記録し、翌年に繰り越す
- 在庫金額は最終仕入原価法で計算する
- 処分するなら証拠を残しておく
在庫の処理は地味に見えますが、経費の金額や税務調査のリスクに直接影響します。
「なんとなくやっていた」という方は、今年の確定申告からきちんとやっていきましょう!

