こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
駆け出しの頃ってどうしても税理士報酬が重く感じやすく、
自分の力でなんとか記帳、確定申告をすることになる人が多いですよね。
そして一度自分でやった経験があると、
「去年もできたし、今年も自分でなんとかやろう」と思えるもので、
次の年も、その次の年も自力でやっていくケースって珍しくありません。
それはとても良いことなんですけど、
じつは自力で記帳、申告している人って、結構知らずにミスをしていることも多いんです。
そこでこの記事では、自力で対応する人の「よくあるミス」と対応策を、
クリエイターさん向けにやさしく整理してみました!
よくあるミス① 売上の計上不足
もっとも多いのが、意図的ではないものの、
結果として売上の計上不足となっているケースです。
具体的には、こんなミス👇
- 普段と違う口座に入金された売上取引の登録漏れ
- プラットフォーム手数料を差し引かれた額だけを売上にしていた
- 源泉徴収後の入金額を売上額として処理していた
- 現金取引を記録し忘れた
- 未入金だけど、すでにお仕事が終わった取引の登録がされてない
これらのミスを避けるため、
たとえば商品やサービスを提供するビジネスであれば、以下の考え方を持つようにしましょう。
- お仕事が完了したら、なるべくその日のうちに請求書を作成(売上計上日)
- 会計ソフトへの売上登録は、源泉徴収前の請求額で行う
- 後日入金されたときに、請求額と入金額の差額があったら要因を突き止める(源泉徴収や手数料)
- 預金明細は売上管理資料ではなく、登録した売上の入金チェック資料として使う
もし、プラットフォームから売上資料が送られてきたり、印税の計算資料が送られてくる場合は、
その資料を見て、「売上は〇〇円、手数料や源泉は▲▲円。その結果入金額と一致」といったふうに、
もともとの計算資料に遡って処理するのが大事です!
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よくあるミス② 経費に入れすぎる
つぎに多いのが、家族との外食代や個人的な趣味用品など、
プライベートな出費も経費として計上しているケース。
もちろん明確に判断がつきにくい出費もありますが、
経費になるかどうかの基本軸は「仕事のために必要だった」ことを証明できるかどうか。
たとえば、
- 完全に趣味の買い物(ゲーム、服)まで経費にしてしまう
- お仕事と何の関係もない友達との飲み会を「打ち合わせ」として処理
- 自分ひとりのご飯代を「交際費」として処理
- 家賃や光熱費を全額経費にしてしまう
- 仕事に活かしていないマンガ、雑誌代を「資料代」として処理
こういったものはすべてNGです。
もちろんクリエイターさんの場合は、
お仕事との結びつきを明確に示すことで経費として認められるケースも多いですが、
それでもなんでもかんでも経費にすることはできず…。
これを避けるための対策としては、
「自分が税務調査する側だったとして、納得して経費と認めることができそうか」という視点をもって、
判断を行うクセをつけておくのがおすすめです!
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よくあるミス③ 家事按分の割合が「なんとなく」決まってる
こちらも意外とあるあるなのが、
地代家賃や光熱費、車関連の出費に関する家事按分の割合が「なんとなく」決められてるケース。
自宅を仕事場にしているクリエイターさんは、家賃や光熱費を「仕事で使った分だけ」経費にできます。
ただし、これも「仕事で使ったのはこの割合」と合理的に説明できることが大事。
たとえば、
- 寝室やリビングもあるのに、家賃の割合が70%
- 家族と暮らしていてミニバン1台なのに、車の経費割合が80%
- 仕事そのものではほとんど水道を使うことがないのに、水道費の割合が60%
こういった割合は「なんかおかしくない?」とパッと見ても目につきやすく、
税務調査でも「この割合はどうやって計算したの?」と突っ込まれる原因になります。
それを避けるためには、
- 全体面積に占める仕事スペースの割合
- 1週間の活動時間のうち仕事時間
- 仕事での利用回数 など
ちょっと手間でも「ならこの割合で問題ないよね」と言える根拠を残しておくのが大事です!
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よくあるミス④ 10万円以上の固定資産を「消耗品費」で処理
これも見落としがちなミスですが、
10万円以上の固定資産を購入したとき、「消耗品費」に計上されていることがよくあります。
たしかに、青色申告の申請をしている場合は、
30万円未満の固定資産は買った年に、減価償却せずに経費に計上する特例を使うことが可能。
ただ、この特例を使うためには、青色申告決算書の「減価償却費の計算」の「摘要」欄に、
「措法 28 の2」と記載する必要があるんです。
freeeやマネーフォワードといったクラウド会計ソフトで申告もする場合は、
一度「工具器具備品」などの固定資産に計上して、「少額償却」などの処理を選ぶことで、
自動的に申告書を作成する際に「措法 28 の2」が記載されますが、
「消耗品費」に計上してしまうと対象にならないんですよね…。
10万円以上の機材を購入したときにミスを避けるためには、
- 通常通り「工具器具備品」などの固定資産の勘定科目で処理
- 特例を使う場合、減価償却方法は「少額償却」など特例用のものを選ぶ
こういった処理をするようにしましょう!
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よくあるミス⑤ 現金残高が多額、マイナス
決算書を見てみると現金残高が数百万円だったり、マイナスになってたり、
明らかに実際の現金額とは異なる金額になっているケースも珍しくありません。
その原因は、事業用の預金口座からお金を引き出したときに、
こういう処理をしてしまうことによるもの👇
【誤った処理(すべて事業用と見なしてしまう)】
現金 / 預金口座
でも、実際にはそのお金ってプライベートでも使うことがありますよね。
そのため、実務上は「現金」勘定を基本的に使わず、
「プライベートなお金を引き出した」ものとしてこういう処理をします👇
【正しい処理(私費の引き出し)】
事業主貸 / 預金口座
また、現金で経費の支払いをするときも「現金」勘定を使わずに、
プライベートなお金で経費を支払ったものとして処理をします。
【正しい処理(経費の現金支払い)】
消耗品費 / 事業主借
こうすることで「現金」勘定が全く動かなくなり、
実際にありもしない現金残高になることを避けられますよ!
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分からないときは、一度税理士に相談するのがおすすめ!
上に見てきたとおり、何年も確定申告を自分でやっている人でも、
会計ソフトの記帳内容がボロボロってことが正直珍しくありません…。
しかも確定申告って基本的には自動的に受理されるので、
税務調査に当たったときや税理士と契約するときにならないと、
「今までのあれ、間違ってたんだ…」って気付けないんですよね。
そのため、あとあと手痛いダメージを受ける前に、
「わからないときは税理士に頼る」というのがやっぱりおすすめ!
顧問契約をしたり、記帳、確定申告を丸投げするためにはまとまったお金が必要になりますが、
スポット相談を使えば1~2万円で済むことがほとんど。
なかには無料で相談対応してくれる事務所さんもあります。
安心して確定申告を毎年やっていくためにも、
うまく税理士を活用していきましょう!
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Q&A:記帳、確定申告に関するあるあるなお悩み
Q. 領収書をなくした支出も経費にできる?
A. 基本は領収書が必要ですが、やむを得ない場合は「出金伝票」に記録して補足可能です!
ただし頻発すると「本当にこのお金払ったの?」と疑われてしまうので、
あくまで奥の手として使える手段と思っておきましょう!
Q. 売上や利益が少額なら税務調査来ないよね?
A. 来る可能性は低いと一般的に言われていますが、来ないわけではありません!
そのため、毎年できる限り正確に帳簿付けしておくようにしましょう。
まとめ │ 自分で申告するなら「ありがちなミス」を知っておこう
- 売上の計上不足や経費の入れすぎは典型論点
- 合理的な家事按分や「現金」勘定の仕組みなど、基礎知識を押さえる
- 少額減価償却資産の特例は、決算書への記載を忘れずに
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