こちらの記事も新型コロナウイルス感染症対策の制度紹介です。
今回は、日本政策金融公庫(いわゆる公庫)が実施している、新型コロナウィルス感染症特別貸付について紹介していきます!
新型コロナウイルス感染症特別貸付とは
新型コロナウイルス感染症特別貸付とは、
国の政策により運営されている日本政策金融公庫が実施している融資制度です。
給付金や補助金ではないので、普段の借入同様に返済義務がありますが、
後述するとおり平常時の貸付と比較してかなり有利な制度ですので積極的に利用することをオススメしております。
対象事業者は?
その名のとおり、コロナウイルス感染症の影響を受けて業績が悪化した事業者向けの融資となっております。
具体的には、以下のいずれかに合致する事業者が対象です。
◆最近1ヵ月の売上高が、前年(または前々年)同期と比較して、5%以上減少
◆業歴が3ヵ月以上1年1ヵ月未満の場合は、
最近1ヵ月の売上高が、次のいずれかと比較して、5%以上減少
- 過去3ヵ月(最近1ヵ月含む。)の平均売上高
- 令和元年12月の売上高
- 令和元年10~12月の平均売上高
なお当該制度は融資であるため、当然のことながら面談が発生します。
面談では主に、
「コロナウイルスの影響でどのような業況となっているか」
「なぜこの金額、借入期間なのか」
「返済スケジュールはどう考えているのか」
「収束後のビジネスプランはどう考えているのか」
といったことをヒアリングされることが想定されます。
ですので、コロナウイルス感染症が収束した暁には、業績を回復させてきちんと返済できるとアピールすることも求められる条件となっています。
借入条件は?
当該融資制度の借入条件は以下のとおりです。(日本政策金融公庫HP上の公表情報より作成)
借入条件 | 国民生活事業 | 中小企業事業 | ||
借入限度額 | 6,000万円 | 3億円 | ||
借入利率 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 | 1億円以下 | 1億円超 |
【当初3年間】 (災害時)基準利率ー0.9% 【3年経過後】 (災害時)基準利率 |
(災害時)基準利率 | 【当初3年間】 基準利率ー0.9% 【3年経過後】 基準利率 |
基準利率 | |
担保 | 無担保 | |||
返済期間 (据置期間) |
運転資金:15年以内 設備資金:20年以内 (いずれも5年以内) |
当初3年間の利率優遇がかなり大きいですよね!
参考情報として、日本政策金融公庫のHPで公表されている国民生活事業の(災害時)基準利率を掲載しておきます。
この左端の利率が採用されることになりますが、
1.36%での借入となった場合、当初3年間は0.46%(=1.36% ー 0.9%)となりますので、非常に有利であることが分かるかと思います。
また、比較的長期かつ多額の融資制度となっていますが、これはあくまで限度の枠です。
日本政策金融公庫としても不必要に多額の融資を行う訳にはいかないので、合理的と判断される借入条件を面談・審査で決定のうえ、融資が行われることになります。
特別利子補給制度との併用推奨
上述したように、借入当初3年間は△0.9%の利率優遇を受けられる訳ですが、それだけではありません。
融資額のうち、
国民生活事業の融資:3,000万円以下
中小企業事業の融資:1億円以下
この借入元本にかかる支払利子について、
当初3年間は政府の指定する実施期間から後日補給されるため実質的には負担しなくて良いことになります。
具体的な例を挙げますと、
国民生活事業より1,500万円の融資を受けた場合、
借入当初3年間は(災害時)基準利率ー0.9%の利率が適用されますが、この利率分を丸々政府が負担してくれるということです。
この制度のことを「特別利子補給制度」といい、現時点において具体的な手続方法等はまだ公表されていませんが、適用されれば大きな恩恵を受けることができますよね!
なお、「特別利子補給制度」の適用を受けるためには、以下の要件に合致する必要があります。
(日本政策金融公庫のご案内より抜粋)
見て分かるとおり、個人事業主であれば無条件に「特別利子補給制度」の適用を受けることができます。
借りれるうちに借りる
これはどの融資にも当てはまる話ですが、借りれるうちに借りておくことが経営の鉄則です。
新型コロナウイルス感染症の影響による自粛要請はまだまだ予断を許さない状況であり先行きが依然として不透明です。
このような状況下においては、資金を通常よりも多く保有しておくことが何より事業継続のカギとなります。
日本政策金融公庫といえども返済見込みのない企業に対して融資を行うことはできませんし、融資を受けようと思っても即日入金される訳ではありません。
そのため、少しでも「必要かも?」と思ったら検討することを強くオススメします。
なお、融資を受けるにあたっての必要資料は以下のリンクに列挙されています。
私も日本政策金融公庫から融資を受けた身ではありますが、個々の状況により追加で資料を要求されることもありますので、その際は迅速に対応するようにしましょう。(資料が揃わないと融資の審査も遅れます。)
弊事務所も中小企業庁の認定する経営革新等支援期間としてお客様の支援をしておりますので、
融資を受けるにあたっての事前相談や試算表の作成支援など、何かありましたらお気軽にお問い合わせください!