【あえて法人成りしない】クリエイターが個人事業主のままで得られる3つのメリット

クリエイターの税金・申告関係
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こんにちは!

公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!

 

順調に案件を獲得して売上が伸びてくると、法人成りのタイミングが気になりますよね!

 

「税金も社会保険料も高くなってきたし、そろそろ法人成りしたほうがいいのかな」

「周りの同業者も法人成りしてるって聞いたし、自分もしてみたい」

「法人成りすれば経費の幅が増えるって聞いた」

 

わたしもいろいろなクリエイターさんから、法人成りをするべきかどうかの相談を受けてきました。

でも、法人成りをすべきかどうかは、人それぞれ置かれているケースによってまるっと変わります。

 

そこでこの記事では、あえて法人成りしないという選択肢について、

個人事業主の立場をどう活かせるのかをわかりやすく整理していきます。

 

「そろそろ法人成りしようかな…」と考えているクリエイターさん、

ぜひこの記事を読んで、参考にしてみてくださいね!

 

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① 手続きもコストも少なく、動きやすい

個人事業主の大きな強みは、なんといってもそのシンプルさにあります。

個人名の預金口座をそのままビジネスに使えますし、事業を始めるときのコストもありません。

管理ができていれば、事業用口座のお金をプライベートで使っても問題なし。

 

一方、法人成りするためには法的な手続きを踏んで、設立するためのお金を払う必要があります。

(株式会社なら20~25万円程度、合同会社なら5万円~10万円程度)

 

また、法人成りしてからも、

  • 役員報酬額の設定(1年間変更不可)
  • 社会保険の加入、変更手続き
  • お給料、外注費からの源泉徴収・税務署への納付
  • 役員個人のプライベート資金と法人資金のキッチリした区別
  • 年末年始に年末調整、法定調書を作成のうえ、税務署・自治体への申告
  • 確定申告書が個人に比べてかなり複雑
  • 本社・役員住所の変更による登記変更

こういったことが重なり、自分ひとりで何でもやろうとすると抜け・漏れ・誤りがすぐ発生します。

 

そこで司法書士・税理士・社会保険労務士といった専門家の力を借りようと思っても、

一つの手続きだけでも数万円のコスト…。

 

もちろんそういった点を補えるくらい業績が伸びているケースなら法人成りすべきですが、

「面倒でお金がかかるだけで大して得にならないね」ってことが少なくありません。

 

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② クリエイターは健康保険料の負担をコントロールしやすい

法人成りすると、会社からの役員報酬額によって厚生年金・健康保険料が決まります。

さらに、個人分と同額の社会保険料を会社も負担しなきゃいけないので、資金繰りの圧迫原因に…。

 

しかも、資金繰りが厳しくて役員報酬額を下げても、社会保険料が下がるのは早くても4か月後!

なので、税金の支払い以上に気を付けなきゃいけない支出だったりします。

 

これに対して個人事業主の国民健康保険は、

青丸の部分 ー 430,000円×10%+3~5万円程度の金額が、社会保険料として課されます。

 

 

ただ、クリエイター業で個人事業主として活動している場合、

国民健康保険の代わりに「文美保険」に加入すれば、健康保険料を定額に固定できます!

 

たとえば茅ヶ崎市であれば、

青色の金額が800万円だと国民健康保険料は784,600円になりますが、

文美保険の場合は、稼いだ金額関係なく308,400円。(2025年度)

 

もちろん業績が大きく悪化したときは「文美保険」のほうが高くなる可能性がありますが、

法人成りを検討しているほどの水準であれば、社会保険料を削減できるケースがほとんど!

金額を固定されていると資金繰りの管理もしやすいので助かりますよね。

 

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③ 青色申告の特別控除や、変動所得の平均課税といった特例

個人事業主でしか受けられないメリットとして、

青色申告の特別控除や変動所得の平均課税といった特例があります。

 

特別控除に関しては、一度確定申告したことあるひとは誰でも知ってると思いますが、

最大65万円を事業所得からマイナスできるすごい制度。

 

お金を全く使わずに65万円も経費が増えるって考えると、とんでもない制度なんですが、

法人成りをするとこの特別控除がまったく受けられません。

 

また、漫画家さんや作編曲家さんといった原稿・作編曲・印税収入がある人にとっては、

過去2年に比べてぐーんっと収入が伸びたら使えるのが変動所得の平均課税という制度。

 

ある年いきなり作品が評価されて印税で数千万円稼いだとしても、

この制度のおかげで所得税が数百万円安くすむなんてこともあるくらい破壊力があります!

そして、これも法人成りをしてしまうと一切使えません…。

 

これを見てもわかるとおり、個人事業主ってよほど毎年稼ぎ過ぎない限りは、

制度をうまく活用することでおおきく税金を減らせる可能性があるんです。

 

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法人成りを「急がない方がいい」ケース

もちろん税金を安くすることだけが法人成りをするメリットではありませんが、

「法人成りしたほうがいいかも」って思うときは、節税に意識が向いてることが多いと思います。

 

ただ、以下のような状況に当てはまるなら、

もう少し個人事業主として活動を続けたほうがいいかもしれません。

  • 売上が年間1,500万円以下
  • 年によって売上・利益の変動が激しい
  • できれば固定費や事務コストを増やしたくない
  • 大きな企業や、国・自治体との取引が基本的にない
  • プライベートのお金と事業のお金を分けるのが苦手

 

売上が1,500万円という線引きをしているのは、

赤丸の部分が900万円を超えてくると、法人成りのメリットを十分に受けられると言われてるためです。

ただこれも、「ある年に900万円を超えた」だけではなく、

「今年は業績悪かったな…」というときでも900万円を超えているくらいじゃないと不十分です。

そう考えると、結構ハードル高いですよね…!

この記事で紹介したとおり、「法人成りしないと損」になる人は結構少ないので、

「そろそろ法人成りしたい!」と思ったときは、事前に税理士とよく検討するようにしましょう!

 

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Q&A:法人成りに関するあるあるなお悩み

Q. 消費税の課税を先送りにするために、法人成りするのはどう?

A. たしかに売上が1,000万円を超えても、2年以内に法人成りすることで消費税の課税を先送りできます。

ただ、そのためだけに法人成りすると、法人運営のコストで資金繰りが悪化する可能性も。

法人成りのタイミングは慎重に検討しましょう!

 

Q. 個人事業主のままでも信頼される?

A. わたしのお客様を見ていても、個人でしっかり企業からの信用を得ている方はたくさんいます!

どういうお客様と取引するかによって、法人成りすべきかどうかの判断も変わります。

 

まとめ │ あえて法人成りしないのも立派な戦略

  • 個人事業主はコストが低く、柔軟で動きやすい
  • 健康保険料を自分でコントロールできる可能性がある
  • 青色申告の特別控除や変動所得の平均課税といった特例が使える

 

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