こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
クリエイター仲間との会話で、こんなフレーズを耳にしたことはありませんか?
「それ経費で落とせばいいじゃん!」
「どうせ全部経費にできるでしょ?」
「経費で落とせばタダみたいなものだよ」
じつは、この「経費で落とす」という言葉、よく使われるわりに誤解がとても多いんです。
この記事では、とくに若手クリエイターさんにありがちな「経費に関する勘違い」と、
正しい考え方を整理していきます!
勘違い① 経費にすれば全部タダになる
なんとなく「経費で落とせばタダ」と思っている人、意外と少なくありません。
でも実際には、経費にしても支出自体は当たり前に発生します。
経費にすることで得られる効果は、あくまで「課税所得をマイナスできる」ことだけ。
たとえば10,000円の出費を経費にした場合、
- 支出:10,000円は手元からなくなる
- 節税効果:税率20%なら2,000円の税金が減る
- トータルで出ていくお金:10,000円 - 2,000円 = 8,000円
こういうことです。
もちろん経費にできるのは大事なことですが、
「経費にすれば支出がゼロになる」わけではない点を押さえておく必要があります。
さらにいえば、経費にできるものとできないものの違いは、税金が軽くなるかどうかだけ。
- 経費にする → 出費は減らないけど、税金が少し軽くなる
- 経費にしない → 出費はそのまま+税金は満額かかる
この違いを正しく理解していないと、
「節税のためにお金を使う」ような本末転倒な行動につながりかねません。
経費は「事業のために使ったお金を『一部』取り戻せる仕組み」と考えるようにしましょう!
◆おすすめ記事


勘違い② 趣味のものでも「仕事に使った」と言えば経費になる
「YouTubeで紹介するからゲーム機も経費!」
「SNSで写真あげたから旅行代も経費!」
こうした発想もよく耳にしますよね。
でも、経費として認められるかどうかの基準は、
その出費が売上を上げるための事業活動に必要あるかどうかです。
趣味に使ったお金は、
SNSやYoutubeを通じて発信していても、事業活動に関係がなければ経費にできません。
たとえば、
- ゲーム実況者さんが実況用にゲーム機を購入 → 経費になる
- 漫画家さんが私用で買ったゲーム機 → 経費にするのは難しい
- イラストレーターさんが取材や資料用に現地調査しにいく → 経費になる
- 「息抜き旅行」のついでに写真をSNS投稿 → 経費にするのは難しい
このように、仕事との紐づきがきちんとあるかどうかで処理が分かれます。
ポイントは、「ちょっと仕事に使ったから」ではなく、「事業に必要だから買った」かどうか。
税務調査のときに説明できるかどうかをイメージすると、判断しやすくなりますよ。
◆おすすめ記事


勘違い③ 仕事に使ってれば全額を経費にできる
「プライベートでも頻繁に使うけど、仕事用として買ったから全部経費にしちゃえ!」
この考えもよくある勘違いです。
たとえば、
- スマホ、ネット代
- 自宅家賃
- ゲーム機代
こうした出費は、仕事に使っている場合でも、
プライベートでも兼用しているなら、全額を経費にすることはできません。
そんなときに使えるのが家事按分(かじあんぶん)。
仕事に使っている割合を自分で算出して、その割合分だけを経費にする方法です。
たとえば、「面積比」や「使用時間」などで按分します👇
- 家賃10万円/月のうち、部屋の20%を仕事専用で使用 → 2万円を経費
- スマホ代8,000円/月のうち、半分が仕事用 → 4,000円を経費
案分割合の算出方法に厳密なルールはありませんが、
「なぜこの割合にしたのか」を聞かれたとき、根拠を示せるようにしておきましょう。
◆おすすめ記事


勘違い④ 経費を増やせば得になる
勘違い①で説明した内容と関連しますが、
「経費が多い方が節税になるんだから、たくさん使ったほうが得!」
これも大きな落とし穴です。
確かに経費を増やせば節税効果はあります。
でも同時に手元に残るお金が減ることを忘れてはいけません。
所得控除を除外したシンプルな例ですが、
たしかに、こう見ると経費が多いほうが税金は安くなります。
- 売上:100万円
- 経費:80万円 → 利益20万円 → 税率20%なら税金4万円
- 経費:50万円 → 利益50万円 → 税率20%なら税金10万円
でも、手元のお金で見てみるとこのような結果に👇
- 手元にあるお金:100万円
- 出ていくお金①:経費 80万円 + 税金 4万円 = 84万円(残るお金 16万円)
- 出ていくお金②:経費 50万円 + 税金 10万円 = 60万円(残るお金 40万円)
つまり、税金を減らしても、無駄な出費をしていたら結局損なんです。
経費は「節税のために増やすもの」ではなく、事業に必要な支出を正しく計上するためのもの。
無理に経費を作ろうとすると、手元資金が減って将来の投資や生活に悪影響が出てしまいます。
短期的には節税も大事ですが、本来の目的は長期的に資産を残して、生活を豊かにしていくこと。
「節税!」という言葉やテクニックに惑わされないようにしましょう!
◆おすすめ記事


Q&A:経費に関するあるあるなお悩み
Q. 友達との食事会は経費になる?
A. 仕事の打ち合わせやコラボの相談であれば「会議費」・「交際費」になる可能性アリ!
食事会の相手、目的などを踏まえて、「プライベートな食事」との線引きを明確にしましょう。
Q. 経費に入れすぎると調査されやすい?
A. 可能性はあります!
とはいえ、結果的に仕事で必要だったことが証明できれば問題ありません。
だからこそ「説明できる根拠」を残しておくことが大事です。
まとめ │ 「経費で落とす」は便利な言葉だけど誤解も多い
- 経費にしても「全部タダ」になるわけではく、資金繰りの悪化につながることも
- 趣味や私用の出費は経費にならない。仕事との関連性が必要
- プライベートの側面もあるような出費は、家事案分で一部を経費に