こんにちは!
公認会計士・クリエイター特化税理士の三橋裕樹です!
イラスト、動画編集、ナレーション、音楽制作、カメラ撮影など、
クリエイターさんとして活動している、お仕事の一部を外注先にお願いする場面ってよくありますよね。
そんなとき、意外と悩みやすいのが、
「報酬を払うときに源泉徴収が必要なの?」という論点。
自分が仕事を請け負うときは源泉徴収があるのに、
自分が外注先に報酬を払うときは源泉徴収しなくていいの?って不安になる人、すごく多いんです。
そこでこの記事では、外注先に報酬を支払うとき、どういうケースで源泉徴収が必要になるのかを、
クリエイターさん向けにわかりやすく解説します!
源泉徴収ってそもそもなに?
そもそも「源泉徴収とは何か」というと、
報酬を支払う人が、報酬の一部をあらかじめ所得税として差し引いて、国に納める仕組みのこと。
「所得税を一部前払いしておくから、その分報酬からマイナスしとくね」っていう制度です。
たとえば、あなたがイラスト制作の報酬として、クライアントに50,000円請求したのに、
「実際に振り込まれた金額は44,895円だった」なんてことありませんか?
これは、報酬額に10.21%を掛けた金額だけ、源泉徴収する義務があることによるもの。
もらえるハズだった差額の5,105円は、クライアントが税務署に前払いをしてくれているので、
あなたが確定申告をすれば、結果的には得にも損にもなりません。
ここまではなんとなく理解できてても、気になるのは「自分が外注先に報酬を支払うとき」。
じつは個人事業主であっても、源泉徴収しなきゃいけないケースがあるんです!
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個人事業主なのに、源泉徴収をする義務のある人
個人事業主であっても、誰かを雇ってお給料を払っている場合は、
お給料を払うときや、外注先に報酬を支払うときに、源泉徴収しなければいけない可能性があります。
つまり、個人事業主の場合は、
- 誰かと雇用契約書を締結することで従業員として雇っている
- 家族を専従者として雇ってお給料を払っている
このどちらかに該当したら源泉徴収がある人と扱われます。
そして、源泉徴収義務がある場合は、
以下の2つのケースで源泉徴収が必要になります👇
- お給与:月88,000円以上払うとき
- 外注費:「源泉徴収対象業種」に該当する個人に報酬を払うとき
外注費に焦点を当てて考えると、
- あなたが誰かを雇ってお給料を払っている
- 個人に対して外注費を支払う
- その個人に対して依頼したお仕事が「源泉徴収対象業種」に該当している
この3つを満たしていなければ、源泉徴収する必要はないということ!
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源泉徴収対象業種ってなに?
「源泉徴収対象業種」について、代表的な例を挙げるとこんな感じ👇
- 原稿料・デザイン料・イラスト制作料
- 作曲料・編曲料・レコーディング報酬
- 出演料・講演料・ナレーション料
- 原稿執筆や翻訳の報酬
- 写真・動画撮影や照明などの演出報酬
- 税理士・社労士・弁護士などへの専門家報酬
つまり、クリエイターさんが外注先に依頼する、
「表現や制作に関わる報酬」の多くは源泉徴収の対象になると思っておきましょう。
逆にいえば、
- 単なる事務作業の手伝い
- 物の仕入れ
- イベント時の物販受付・整列スタッフ
このような報酬・支払いであれば、源泉徴収の対象外となるので、
請求された金額をそのまま支払えばOKです!
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報酬を払うときの実際の流れ
では、実際に源泉徴収が必要なケースでどう処理するのか、
具体的な流れを見てみましょう!
ザックリと流れを説明するとこんな感じ👇
- 外注先から請求額を確認する
- その金額から「源泉所得税」(基本的には、報酬額 × 10.21%)を差し引く
- 差し引いた後の金額を外注先に振り込む
- 差し引いた所得税は、翌月10日までに税務署に納付する
税務署に納付するときは、「徴収高計算書」という書類を作成する必要があるのですが、
Youtubeで書き方の動画を探すとわかりやすいです。
たとえば「デザイン料として5万円」の請求が来た場合は、
- 支払金額:50,000円
- 源泉徴収税額(10.21%):5,105円
- 実際の振込額:44,895円
- 税務署への納付額:5,105円
このように計算して、処理する必要があります。
一度流れがわかるようになると簡単に処理できますが、
「よくわからない」「合ってるか不安」というときは、一度税理士に相談するのがおすすめです!
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Q&A:源泉徴収に関するあるあるなお悩み
Q. 外注先から「源泉徴収しないで払ってほしい」と言われたら?
A. 源泉徴収が法律で決まっている報酬の場合、依頼者側が必ず行う必要があります!
外注先の希望で省略することはできません…。
Q. フリーランス仲間に謝礼を払う場合も必要?
A. 謝礼が「原稿料」「デザイン料」など源泉徴収対象に当たるなら必要です!
Q. 外注先への報酬の場合は、少額でも源泉徴収は必要?
A. はい!たとえ1万円でも対象の報酬なら源泉徴収が必要です。
まとめ │ 人を雇ってたら、個人事業主でも源泉徴収義務アリ!
- 源泉徴収は、報酬から所得税を一部天引きして、税務署に前払いする仕組み
- 個人事業主でも、誰かを雇っていたら源泉徴収義務がある
- クリエイターさんが外注先に依頼する作業のほとんどが源泉徴収対象